2014年7月20日日曜日

黒川博行「国境」その他

私の好きな作家黒川博行さんが直木賞を受賞した。
「今までもらってなかったんだ!」と驚いた。

彼の作品で一番好きなのは「国境」。詐欺師を追って北朝鮮に潜入する大阪のやくざの桑原と建設コンサルタントの二宮の珍道中と冒険。読んでいて、家族が驚くほど一人で何度も大笑いした。

北朝鮮国内の描写は、どこかで読んだことがあるようだと思っていたら、学術論文のように巻末に参考文献が記載してあった。私は一時北朝鮮の現状に興味があって、いろんな本を読みあさったことがある。この本の北朝鮮描写の元ネタは私が読んだ萩原 遼 とか 石高 健次とか黄長燁(ファン・ジャンヨプ)その他の著作を参考にしているとのこと。同じ本を読んでも、ここまで想像力を広げることができる作家の才能を感じた。

この人は元々京都芸大出身で、美術品などにからむストーリーも面白いし、関西在住の作家なので、京都や大阪や奈良など、私のよく知っている場所が舞台になっているのも読んでいて楽しい理由だ。